
クリストファー・ロビン・ノルドストローム | 東京ビルド
Iteration | 反復
i GALLERY OSAKAは、ストックホルムを拠点に活動するクリストファー・ロビン・ノルドストローム(東京ビルド)による日本初個展「Iteration(反復)」を開催いたします。
“東京ビルド“という名称が示す通り、本プロジェクトは東京の都市風景を主題としていますが、その制作は作家が拠点とするストックホルムにおいて行われています。実際の場所を訪れることなく、Googleストリートビューという間接的な視覚情報を起点に建築を再構築するその方法は、物理的な距離と知覚の関係を問い直す試みでもあります。
ノルドストロームは、都市に無数に存在する匿名的な建築に着目し、それらを精緻な模型として立ち上げてきました。そこでは、特定のランドマークではなく、記憶にも残りにくい“ありふれた建物”が繰り返し観察され、再構成されます。
本展において、ひとつの家屋は複数の時間において反復されます。更新、修復、放置、付加——それらの差異は劇的に現れることはなく、表層に沈み込むかのように蓄積していきます。ここで扱われているのは、変化そのものというよりも、変化が起こり続ける条件です。
作品は一貫して1:20のスケールで制作されています。この比率は、全体を俯瞰する視点と、細部へと引き寄せられる視線のあいだを往復させ、鑑賞者の距離を固定しません。可視性は与えられながらも、完全な把握は留保される——その状態が持続します。
遠く離れた場所から観察され、別の土地で再構築された都市の断片が、さらにここ大阪において提示されること。その多層的な距離の重なりは、本展における重要な前提のひとつとなっています。
同一に見えるものは、完全には重なり合わない。
変化しているものは、完全には変わりきらない。
都市における反復は、直線的な時間ではなく、折り重なり、回帰し続ける運動として現れます。「Iteration」は、その運動が輪郭を持つ瞬間を提示します。
ぜひ会場にてご体験ください。
DATES
2026年5月23日(土) - 6月22日(月)
*火曜日閉廊
OPENING RECEPTION
5月23日(土) 17:00 - 20:00
LOCATION
i GALLERY OSAKA
〒542-0081
大阪府大阪市中央区南船場3丁目8-14
ACN心斎橋Garden1F
ARTIST
クリストファー・ロビン・ノルドストローム
(東京ビルド)
「Iteration(反復)
⼀つの家が現れる。
そしてまた。
さらにまた。
それは固有の場所ではなく、繰り返されるかたち。
⾒慣れていながら、ほとんど意識されることのないもの。
主張することなくそこにあり、記憶されることなく⼈の営みを内包する家。
同じ家が、⼋度現れる。
それぞれは異なる年を⽰しているが、時間は声⾼には語られない。
その痕跡は、わずかな変化として現れる。
取り替えられた表⾯、褪せた⾊、付け加えられた細部、失われた何か。
それらは静かに積み重なり、構造だけでなく、そこにあった⽣活の気配—⼿⼊れ、放置、適応、配慮—を浮かび上がらせる。
家はそこにあり続けるが、決して同じままではない。
都市において、このような家は永続を前提としない。
更新され、上書きされ、消去され、再び建てられる。
安定は⼀時的なものにすぎない。
「住まい」という概念は永続性から離れ、反復へと移⾏する。
連続ではなく、循環としての時間へ。
1:20というスケールにおいて、これらの家は宙づりの状態にある。
全体を⾒渡すことはできるが、完全に内部へ⼊ることはできない。
内側は閉ざされ、あるいは想像に委ねられる。
鑑賞者は距離と接近のあいだを⾏き来し、認識と不確かさのあいだに⽴つ。
同じに⾒えるものが、少しずつ分かれていく。
変化しているようで、どこか変わらない。
この⼋つのかたちのあいだで、時間は直線的には進まない。
折り重なり、反復し、戻ってくる。
表⾯のわずかな差異の中に、静かに宿りながら。
⼀つの家が現れる。
そして消える。
しかし完全に去ることはない。」
- クリストファー・ロビン・ノルドストローム | 東京ビルド
クリストファー・ロビン・ノルドストローム | 東京ビルド
クリストファー・ロビン・ノルドストローム(1979年生まれ)は、スウェーデンのストックホルム南部にある島で生まれ育ちました。美術と家具デザインを学び、IKEAやH&Mといった国際的なクライアントを担当する製品デザイナーとして活躍してきました。また、商業的な活動と並行して、彼はアート、デザイン、建築の境界に位置する独自の作品群を制作し続けています。
彼の芸術的表現は、ポップカルチャー、SF、工芸、現代美術を通じて形作られてきた幅広い視覚文化に根ざしています。プラモデルやラジコンカー(特にタミヤ製品)が全盛だった時代に育った彼は、幼い頃から構造、ディテール、そして縮尺された世界に強い魅力を感じていました。この子どもの頃の経験が、今でも彼の制作活動の中心です。そして、ミニチュアは制作手法であると同時に、「見る」ための手段でもあるのです。
ノルドストロームが継続的に取り組む「TokyoBuild」シリーズは、2018年に彼が初めて東京を訪れたことがきっかけで始まりました。もともと仕事の目的で訪れた彼は、東京の建築的景観、つまり象徴的なランドマークではなく、日常的な建造物に魅了されたのです。質素で、しばしば風雨にさらされ家々は、修繕や増築、そして幾重にも重なる使用の痕跡が残り、そこには建築環境に宿る「魂」のようなものが感じられると彼は話します。
ストックホルムに戻ったノルドストロームは、そうした印象を整理し、形に残す手段として、それら建物の精巧な手作りミニチュアの制作を始めました。主に1:20スケールで制作を行う彼は、木材、プラスチック、真鍮、鋳造、デジタルファブリケーションなど、多岐にわたる素材と技法を用いて、一つひとつの作品をゼロから作り上げています。その制作過程は緻密かつ反復的で、作品ごとに新たな手法を頻繁に取り入れています。そして、油絵の具や顔料を用いた表面処理によって、錆、汚れ、経年変化の痕跡を表現することで、時間そのものを「描き出す」ことを可能にしています。
彼の作品は、理想化された模型や架空の模型ではなく、建築の肖像画としての役割を果たしています。それらには、電気配線、補修されたファサード、色褪せた看板、さらには日常生活のさりげない積み重ねといった、見過ごされがちなものが前面に押し出されています。こうした細部へのこだわりを通じて、彼のミニチュア作品は、物理的な構造物だけでなく、そこに刻まれた歴史や人々の生活をも想起させます。
ノルドストロームの制作活動の中核にあるのは、観察をプレゼンスへと昇華させ、鑑賞者を異なるスケールの知覚へと誘う空間を創造したいという願望です。遠く離れた都市の断片を精緻かつ丁寧に再現することで、彼は記憶、場所、そして想像力がどのように交錯するのかを探求するとともに、鑑賞者に馴染み深くも変容した世界の体験をほんの束の間提供してくれます。
Exhibition history:
Tactile Realms the MYST experience | Gallery Gemla 2025 Stockholm
Impact arrangement solos show | Gallery Mejan 2025 Stockholm
BA group exhibition Royal institute of arts | Marabou Park 2024 Stockholm
Godzilla the art | Mori art museum 2025 Tokyo
Spring salon group show | Liljevalchs art museum 2023 Stockholm
Small is beautiful group show | 2022 Paris
Small is beautiful group show | 2022 London
TokyoBuild Solo exhibition | Busan computer club 2019 Stockholm
Instagram: @tokyobuild